霧吹き雲太郎の雑記ブログ

東アジア、東南アジア文化を紹介中

東アジアが安定する条件

東アジアが安定する条件は以下の3つです。

  1.  中国が統一されて安定していること
  2.  中国の周辺国が中国に従うこと
  3.  域外勢力(アメリカなど)の干渉が無いこと

 

この条件のうち1つでも欠ければ東アジアは平和を維持することは難しいでしょう。

 

東アジアが安定する条件

 

 

1 中国が統一されて安定していること

 

1(中国が統一されて安定していること)の条件について解説します。中国が統一されていない場合、中国国内は戦乱に苦しむことになります。それでは東アジアは平和とは言えないでしょう。(中国自体が東アジアの大部分を占めているから)それに、中国が統一されていない場合は、中国が持つ本来の外交能力が発揮されないので、東アジア諸国へのコントロールが弱くなり、中国の周辺国が好き勝手に戦争を始めることさえあるかもしれません。

 

2 中国の周辺国が中国に従うこと

 

2の条件(中国の周辺国が中国に従うこと)の詳細について解説します。
古来より、中国の皇帝は(中国の圧倒的な軍事力と経済力を背景に)朝貢してきた周辺国の君主に君臣関係を結ぶことで東アジアの秩序を守ってきました。中国の周辺国が貢物を差し出し、中国は周辺国に何倍もの返礼を出したのです。また、中国が朝貢してきた周辺国の君主に称号を与えてその国の統治を承認しました。
 中国は朝貢してきた周辺国に対してい影響力を行使することがありました。15世紀始め頃、日本の室町幕府足利義満将軍は、明の皇帝に対して貿易を求めました。その際、明の皇帝が出した条件として当時明で海賊行為を繰り返していた倭寇の取り締まりです。

 中国がその周辺国を守るために行動することがあります。かつて日本の豊臣秀吉が朝鮮を侵略(文禄・慶長の役)した際に、当時の明は朝鮮を守るために軍隊を送ってい豊臣秀吉の軍と戦いました。
 また、中国の周辺国が中国を利用する場面もありました。かつて古代日本の邪馬台国卑弥呼は、自国の権威の確立のため、中国で最大の勢力を誇った国である魏に対してい朝貢しています。
 もしも、中国の周辺国が中国に逆らう動きを見せた場合、中国はその周辺国を懲罰するために戦争をする可能性があります。実際に6世紀末に朝鮮半島北部の高句麗は隋に朝貢しなかったために隋に討伐されました。なぜなら、周辺国が中国に逆らうことは中国にとって「強い中国」のイメージが崩れかねないからです。中国は自国が強いイメージがあることを非常に大事にします。中国の南宋において金との主戦派であった岳飛が後に英雄とされ、華北を諦めることを条件に金との和平を結んだ秦檜は後に大悪人とされました。このことからも、中国は自国の強いイメージを大事にすることが分かります。
現代では、中国は冊封体制の代わりに、圧倒的な経済力と外交を持って周辺諸国に影響力を与えようとしています。中国が周辺諸国をコントロールすることで東アジアに平和な秩序をもたらすのです。中国に逆らう国が無ければ戦争は起きません。図は下に示します。

中国が周辺国(日本、韓国、ベトナム等)に影響を与える図。

3 域外勢力の干渉が無いこと

 

3の条件(域外勢力の干渉が無いこと)の詳細について解説します。
ある地域において域外勢力の干渉があるとその地域は不安定化します。なぜなら、その地域のNo.1の大国と域外勢力が衝突することになるからです。東アジアの場合、中国の周辺国が域外勢力の干渉により、中国に逆らい挑発するようになり、結果として中国がその周辺国を懲罰することになるのです。域外勢力による干渉の例を2つ挙げます。

 

清仏戦争

 

 1つ目は、清仏戦争です。19世紀末にフランスがベトナムを植民地化するために、ベトナムに軍隊を送りました。清王朝ベトナムを守るために、軍隊を送りますが清軍はフランス軍に敗れました。(当時の清王朝はフランスより近代化が遅れていたため、強い軍隊を持っていなかったのです。)

 

ベトナム戦争

 

 2つ目は、ベトナム戦争です。ベトナムが日本の侵略から解放された後、ベトナム民主共和国は。旧宗主国のフランスと戦い、フランス軍を打ち破り、撤退に追い込みます。その後、ベベトナムは北の北ベトナムベトナム民主共和国)と南の南ベトナムアメリカの支援を受ける)に分かれ戦争が勃発します。南ベトナムには北ベトナムに味方をする反政府勢力がいるので北ベトナム有利でした。そんな中、アメリカが突如南ベトナム側に参戦しました。アメリカは、北ベトナム南ベトナムの反政府勢力を攻撃します。これによって、多くのベトナムの人々が死傷しました。最終的にはアメリカ軍は撤退して、北ベトナム南ベトナムを滅ぼしました。ちなみに当時の中華人民共和国北ベトナムに味方しています。


アメリカ軍が東アジアに展開していたから東アジアは平和だった」に対する反論

 

アメリカが東アジアに展開していたから東アジアは平和だった」
こんな意見を持つ方もいらっしゃいますが、反論は以下の通りです。

 20世紀ではは、アメリカが世界で圧倒的に強い時代があり、その時代においては、東アジアの中国を封じ込める力さえ持っていました。当時は、軍事力と経済力でアメリカは中国を圧倒していました。しかし、21世紀では、アメリカは東アジアにおいて中国に対抗する力を失い、アメリカが来ればその場所に無条件に平和が訪れる時代は終わっています。
 むしろ、アメリカはイラク戦争アフガニスタン戦争のように、アメリカが来た場所に混乱をもたらす存在となっています。2001年までのアフガニスタンタリバンが統治しある程度安定していました。そこにアメリカが2001年突如アフガニスタンに攻め込みアフガニスタンのインフラを破壊しました。それ以降2021年までアフガニスタンアメリカとタリバンが戦闘を繰り広げる戦場となりました。なぜなら、アメリカにはタリバンを完全に破壊する力が無かったからです。
 このようにアメリカの介入がかえって事態を悪化させることもあるのです。今のアメリカに中国を破壊する力は残っていません。もし、アメリカが中国の破壊を試みるなら、アメリカと中国の力が日本でぶつかることになり、日本が戦場と化するでしょう。